第66回気象予報士試験・一般知識の過去問解説です。(合格基準10点以上)
解答だけでなく、「なぜその選択肢が正解・不正解になるのか」まで整理しています。
過去問演習で理解度を確認しながら、自分の現在地もチェックしてみましょう。
一般知識をまとめて復習したい方は、こちらの対策リンク集も参考にしてください。
【保存版】気象予報士 一般知識対策リンク集|後悔する前に読んでおきたい受験前の総整理!
問1 地球大気の鉛直構造
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
中間圏界面付近では、夏極付近の方が冬極付近より低温です。
夏側では上昇流による断熱冷却、冬側では下降流による断熱昇温が生じますので。
答えは×です。
(b)
成層圏界面(高度約50 km)より上でも、約100 kmまでは大気がよく混合され、主要な気体の組成比はほぼ一定です。
分子量の小さい気体ほど上空で割合が増えるのは、主にそれより上の非均質圏です。
答えは×です。
(c)
乾燥空気の体積比は、窒素が約78%、酸素が約21%。
合計は約99%で、97%ではありません。
答えは×です。
よって解答は⑤です!
問2 空気塊の温度と水蒸気量
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
気体の状態方程式を用いて計算してみましょう。
PV=mRTから式を変形するとρ=m/V=P/RT。
ρは密度(kg/m3)、mは質量(kg)、Vは体積(m3)、Tは温度(K)、Pは気圧(Pa)、Rは単位体積あたりの気体定数で乾燥空気では約287J/kg・K、湿潤空気では461J/kg・Kで表されます。
つまり、同じ温度、同じ気圧であれば、Rが大きい方が密度は小さくなります。
Rが大きいのは湿潤空気なので問題文は間違いですね。
答えは×です。
(b)
混合比は水蒸気の質量(g)/乾燥空気の質量(kg)で表されます。
加熱すると空気塊は膨張しますが、水蒸気と乾燥空気それぞれの質量は変わりません。
したがって、混合比は一定。
一方、相対湿度は水蒸気圧/飽和水蒸気圧で表され、温度があがると水蒸気圧は一定ですが、飽和水蒸気圧が上がるので、相対湿度は下がります。
答えは〇です。
(c)
仮温度は、湿潤空気と同じ気圧・密度になるようにしたときの、乾燥空気の温度です。
湿潤空気は密度が小さいため、乾燥空気も温度を高くする必要があります。
そのため、水蒸気が多いほど仮温度は高くなります。
答えは〇です。
(d)
飽和水蒸気圧は、基本的に温度によって決まり、気圧に反比例しません。
ちなみに気圧が高くなるほど小さくなるのは飽和混合比。
飽和混合比=0.622es/(P-es)でeは飽和水蒸気圧でPが気圧です。
同じ温度ならesは一定でPが高いほど飽和混合比は小さくなりますね。
答えは×です。
よって解答は③です!
問3 熱平衡
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
この問題のポイントは容器Aでは体積一定、容器Bでは体積が可変で圧力が一定であること。
Q=mCΔTを用いて計算します。
Qは加えた熱量、mは質量、Cが比熱、ΔTは温度変化です。
このとき容器Aは定積比熱 Cv、容器Bは定圧比熱 Cpを使用します。
熱平衡の温度を Tとすると、容器Aの空気が失う熱量と、容器Bの空気が受け取る熱量は等しくので、
mACv(350-T)=mBCp(T-300)
ともに空気は1kg。
つまり、問題文の数値を用いると、
700(350-T)=1000(T-300)
1700T=545000
T≒320.6≒321K
答えは321Kです。
(b)
気体の状態方程式PV=mRdTから、圧力一定での体積増加量は、
ΔV=mRd(T-300)/P
P=1000hPa=100000Paとして数値を入れると、
ΔV=1×300×(320.6-300)/100000≒0.0618≒0.06m3
答えは0.06m3です。
よって解答は④です!
問4 エーロゾル
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
凝結核は、水蒸気が凝結して水滴をつくる際の核で氷晶核は氷の結晶をつくる際の核です。
氷晶核として働く粒子は限られるため、凝結核より数が少なくなります。
答えは×です。
(b)
代表的な凝結核には海塩粒子や硫酸塩粒子、氷晶核には鉱物粒子などがあります。
答えは〇です。
(c)
飽和水蒸気圧は、水面から出ていく水分子と、水面に戻る水分子の数が釣り合ったときの水蒸気圧。
蒸発では水面から水蒸気が飛び出しますし、凝結では空気中の水分子が水面に戻ります。
水蒸気圧が高いほど、空気中に水分子が多く、水面に戻ってくる分子も多くなります。
塩などが溶けて水分子が飛び出しにくくなると、最初は「出ていく数」より「戻る数」が多くなりその結果、空気中の水分子が減って、水蒸気圧が下がります。
すると戻る数も減り、やがて、少ない蒸発量=少ない凝結量で釣り合います。
答えは×です。
よって解答は④です!
問5 エネルギー収支
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
大気上端に入射する太陽放射のうち、地表面に吸収されるのは約50%です。
答えは〇です。
(b)
地表付近の気温は、太陽放射と地表からの長波放射だけでなく、大気からの下向き長波放射や、顕熱・潜熱の輸送などにも左右されます。
答えは×です。
(c)
顕熱は、地表面が空気を直接温めるなどして運ぶ熱です。
潜熱は、水の蒸発によって地表面から持ち去られ、水蒸気とともに運ばれる熱です。
全球平均では、潜熱による輸送が顕熱を大きく上回ります。
答えは〇です。
(d)
地表面から出る上向き長波放射は、大気から受け取る下向き長波放射より大きく、差し引きでは地表面から熱が出ていきます。
式で表すと、吸収する太陽放射+下向き長波放射=上向き長波放射+顕熱・潜熱
損失を太陽放射の吸収などが補っています。
答えは×です。
よって解答は②です!
問6 風ベクトル
気象業務支援センター
ポイント解説
絶対渦度Ωは相対渦度(∂v/∂x-∂u/∂y)と惑星渦度(2ωsinΘ)の和であらわされます。
まずAの絶対渦度を求めてみましょう。
まず相対渦度ですが、渦度は反時計回りが正かつ100km=1000000mとなるため、
相対渦度=(25-15-15+10)/105=5×105/s
次に惑星渦度は問題文から鉛直成分が14.6×105/s、北緯60°なので0.87。
惑星渦度=14.6×105×0.87=12.702×105/sとなります。
つまり絶対渦度=17.702×105/s
次にB。
同様に考えると、
相対渦度=(15-20-10+15)/105=0
惑星渦度=14.6×105×0.5=7.3×105/sとなります。
つまり絶対渦度=7.3×105/s
最後にC。
相対渦度=(10+10-5-5)/105=10×105/s
惑星渦度=14.6×105×0=0
つまり絶対渦度=10×105/s
絶対渦度が大きい順にΩA>ΩC>ΩB
よって解答は②です!
問7 温度と水平風
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
まず、Aの発散について。
風の流れをみると、東西には広がり、南北には風がぶつかっているように見えます。
u=cx、v=-cyなので同じ割合で発散、収束することになります。
発散=c-c=0。
発散はありません。
答えは無しです。
(b)
Aの渦度。
空気を東西に引き伸ばし、南北に縮める力はありますが、回転させる力はありません。
答えは無しです。
(c)
Bの渦度。
東側では北向きの風がつよく、西側では南向きの風が強まっており反時計回りの回転になっていることがわかります。
渦度=c-0=c。
答えは有りです。
(d)
Aでは北側が低温、南側が高温です。
風は南北から中央へ向かうため、暖気と寒気の間隔が狭くなります。
その結果、同じ距離あたりの温度差が大きくなり、温度傾度は強化されます。
Bでは北側が低温、南側が高温という配置に対して、
- 西側では、北側の冷たい空気を南へ運ぶ
- 東側では、南側の暖かい空気を北へ運ぶ
という流れになります。
これによって等温線が斜めに変形し、間隔も狭くなるため、温度傾度は強化されます。
発散がなくても、空気を一方向に縮めたり、ずらしたりすれば、温度傾度は強まるという点が、この問題のポイントですね。
答えは有りです。
よって解答は④です!
問8 ハドレー循環
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
赤道付近には、貿易風によって周囲から水蒸気が集まります。
その湿った空気が上昇して雲をつくり、多くの雨を降らせます。
その場所で蒸発した水だけでなく、周囲から運ばれてきた水蒸気も雨になるため、年平均では、降水量>蒸発量となります。
答えは〇です。
(b)
赤道付近から上昇した空気は、上空を高緯度側へ流れます。
そのときコリオリ力によって、北半球では北向きの流れが、進行方向の右=東へ曲がる、南半球では南向きの流れが、進行方向の左=東へ曲がるため、両半球とも東向きの風。
つまり西風が強まります。
これが亜熱帯ジェット気流の維持に寄与します。
東向きに吹く風は、吹いてくる方向で呼ぶと西風ですね。
答えは〇です。
(c)
低緯度では、年平均すると太陽から受け取るエネルギーが放出するエネルギーを上回ります。
この余ったエネルギーを、大気や海洋が高緯度へ運びます。
極向きの熱輸送量は、低緯度の余剰エネルギーを集めながら増え、一般に南北緯度35〜40度付近で最大になります。
これはハドレー循環の主な領域である赤道〜緯度30度付近より高緯度側です。
また、中緯度では移動性の低気圧・高気圧なども熱輸送に大きく寄与します。
熱を極へ運ぶ仕組みは、ハドレー循環だけではありません。
答えは×です。
よって解答は②です!
問9 大気境界層
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
日射で地面が暖まると対流が起こり、混合層が上へ発達します。
正午を過ぎても地面からの加熱は続くため、混合層の上端が最も高くなるのは、一般に午後。
また、夕方には地表付近から安定した層ができ、昼間の混合層は上空に残留層として残ります。
単純に上端が徐々に下がるわけでもありません。
答えは×です。
(b)
対流で空気がよく混ざっても、上昇する空気は周囲の気圧が低くなることで膨張し、冷えます。
そのため、対流混合層内では一般に、高度が100m上昇すると気温が1℃下がる乾燥断熱減率に従います。
気温は上ほど低く、温位は一定です。
答えは×です。
(c)
地表から供給された水蒸気も、対流によって上へ運ばれます。
その結果、混合層内では水蒸気の混合比がほぼ一様になります。
一方、気温は上ほど低いため、飽和水蒸気圧も低くなります。
そのため、相対湿度は一般に上ほど高くなります。
水蒸気が地表から供給されるから、上ほど相対湿度が低いとは判断できません。
答えは×です。
(d)
地表に近いほど摩擦の影響が強いため、接地境界層では上ほど風速が大きくなります。
その上の対流混合層では、対流が運動量も上下に混ぜるため、風速は高度によらずほぼ一定になります。
ちなみに対流混合層の上端は地上から数十m、対流混合層、混合層は地上から1~2km高さが目安になります。
答えは〇です。
よって解答は⑤です!
問10 成層圏の大気の変動
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
北極付近の冬の成層圏には、極を取り巻く強い西風が吹いています。
この時期、対流圏から伝わるプラネタリー波が成層圏の西風を弱め、極域で下降流を強めます。
空気は下降すると圧縮されて暖まるため、北極付近の気温が急上昇します。
したがって、下線部の東風が卓越する寒候期が誤りとなります。
答えは×です。
(b)
赤道上空の成層圏では、東風と西風が約2年強の周期で交代します。
これを準二年周期振動(QBO)といいます。
風の交代は上層から始まり、時間とともに下層へ進みます。
ただし、風の帯が下へ移るのであって、空気自体がその速さで下降するという意味ではありません。
答えは〇です。
(c)
プラネタリー波は、地球規模の大きな大気の波です。
冬には、この波が対流圏から成層圏へ伝わり、気圧配置を変形させます。
これにより、北半球の冬の成層圏上部では、アリューシャン方面に高気圧が現れます。
答えは〇です。
(d)
二酸化炭素の増加は、対流圏では地表付近を暖める方向に働きます。
一方、成層圏では、赤外線を宇宙へ放出する働きが強まり、冷却につながります。
また、オゾンの減少も成層圏の寒冷化に寄与してきました。
突然昇温のような一時的な気温上昇があっても、長期的な傾向としては成層圏の気温は低下しています。
答えは〇です。
よって解答は③です!
問11 地球温暖化
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
海は陸に比べて暖まりにくい性質があります。
さらに、海では上下の混合によって熱が深いところへ運ばれ、蒸発にも熱が使われます。
このため、地球温暖化に伴う地上気温の上昇は、海上よりも陸上で大きくなっています。
答えは〇です。
(b)
主に次の2つが、世界平均の海面水位を上昇させます。
1つは海水の熱膨張で 海水が暖まり、体積が増えること、もう一つは陸氷の融解で 陸上にある氷床や氷河がとけ、海へ水が加わること。
ここでは、陸上の氷と、すでに海に浮いている海氷を区別することが大切です。
浮いている海氷がとけても、海面水位は直接にはほとんど変わりません。
答えは〇です。
(c)
地球温暖化によって地球全体に増えた熱エネルギーのうち、約90%は海洋に蓄積されています。
海は大量の水を持ち、大きな熱容量があるため、膨大な熱を蓄えることができます。
答えは×です。
よって解答は①です!
問12 予報業務の許可
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
許可された区域とは別の区域で予報業務を行うのは、予報業務の範囲の変更です。
したがって、30日前までに届け出るだけでは足りず、あらかじめ気象庁長官の変更認可を受ける必要があります。
【テンプレ暗記用】気象予報士試験/一般知識法規問題の解答を全部丸暗記帳!
答えは×です。
(b)
現象の予想方法を変える場合は、変更予定日の30日前までに、予報業務変更報告書を提出します。
問題文の変更したときという事後の手続きと、許可を申請するという部分が誤りです。
答えは×です。
(c)
気象庁の警報事項を受ける方法に変更があった場合は、変更後、遅滞なく変更報告書を提出する必要があります。
「遅滞なく」とは、不必要に遅らせず手続きするという意味です。
答えは〇です。
(d)
予報業務の全部または一部を休止した場合は、休止した日から30日以内に届け出ます。
「休止する30日前まで」ではありません。
廃止した場合も同じです。
答えは×です。
よって解答は⑤です!
問13 気象観測
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
気象庁以外の政府機関や地方公共団体が行う気象観測は、原則として技術上の基準に従う必要があります。
ただし、研究や教育のための観測などは例外です。
例えば、公立学校の授業で行う気温の観測まで、すべて同じ基準に従う義務があるわけではありません。
答えは×です。
(b)
研究・教育目的の観測として例外に該当する場合は、技術上の基準に従う義務も、観測施設の設置の届出義務もありません。
気象業務法第6条第3項では、施設の届出が必要なのは、同条第1項・第2項によって技術上の基準に従わなければならない者とされています。
したがって、問題文のように2つの義務を分けるのは誤りです。
なお、研究・教育にも使うというだけで、必ず例外になるわけではありません。
防災や行政などにも利用する観測では、基準への適合と届出が必要になりますね。
答えは×です。
(c)
気象庁長官は、気象に関する観測網を確立するために必要と認めるとき、施設の設置を届け出た者に対して、観測成果の報告を求めることができます。
気象業務法第6条第4項の規定です。
答えは〇です。
よって解答は④です!
問14 気象予報士の配置
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
専任の気象予報士の必要人数は、1日当たりに現象の予想を行う時間で決まります。
8時間以下であれば2人、8時間を超え16時間以内であれば3人、16時間を超える場合は4人です。
18時間は「16時間を超える」に該当するため、問題文の「3人以上」は誤り。
これは同時に4人で作業するという意味ではなく、交代勤務などを含めて配置する人数です。
答えは×です。
(b)
配置する気象予報士が変わると、許可申請時などに提出した気象予報士名簿の内容も変わります。
したがって、変更後、遅滞なく気象庁長官に変更報告を行う必要があります。
答えは〇です。
(c)
必要人数を下回った場合は、2週間以内に、人数の基準を満たすための措置を取らなければなりません。
ただし、この猶予は、欠員後も気象予報士が1人以上配置されている場合に限ります。
対応方法には、欠員を補充するほか、予想作業の時間を短縮して必要人数を減らす方法もあります。
答えは×です。
よって解答は③です!
問15 災害対策基本法
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
災害対策基本法でいう防災には、災害を未然に防ぐ、発生した災害の被害拡大を防ぐ、災害からの復旧を図るの3つがあります。
発生前から復旧までを含む言葉で、防災は災害が起きる前の備えだけではありません。
答えは〇です。
(b)
国には中央防災会議、都道府県には都道府県防災会議、市町村には市町村防災会議を置くことが法律で定められています。
なお、市町村防災会議には、法律上、設置しないことができる例外もあります。
答えは〇です。
(c)
市町村は、その地域の市町村地域防災計画を作成し、実施する責務を有します。
問題文の防災業務計画が誤りです。
「防災業務計画」は、指定行政機関や指定公共機関が、それぞれの担当業務について作成する計画です。
答えは×です。
よって解答は②です!
まとめ
第66回気象予報士試験一般知識はこれで終わりです。
皆さん、お疲れさまでした!
















