第53回 気象予報士試験 専門知識 

専門試験


ポイント解説
(a) 風速は前10分間の平均値ですね。
  答えは×です。


(b) 9時10分の風速ということは前10分間の
  平均値なので9時00分から9時10分まで
  の風速の平均値ということになります。
  9時00から9時05分までは4m/s、
  9時05分から9時08分までは10m/s、
  9時08分から9時10分までは5m/s
  なのでこれを平均すると、9時10分の
  風速=(5×4+3×10+2×5)/10=
  6m/sですね。
  答えは×です。


(c) 最大風速は図を見ると、9時05分から
  9時08分のところは風速が大きいので
  内数に入りそうですね。その前後を
  見ると後半の方が風速が大きいので
  9時05分から9時10分の10分間が最大
  風速となりそうです。なので起時は
  9時15分となり答えは×です。

 

よって回答はです!







ポイント解説
(a) ドップラーレーダーは降水の位置や強さ
  の他に、風に流される降水粒子から反射
  される電波のドップラー効果を用いて、
  レーダーに近づく風の成分と遠ざかる
  風の成分を測定することができます。
  答えは「ア」です。



(b) ブリューワー分光光度計は、回折格子を
  用いて太陽光を分光し、光電子増倍管で
  その光の粒子数を目的の波長毎に測定し
  ます。オゾンや二酸化硫黄の観測では、
  回折格子を固定し、分光器内のシャッター
  位置で目的の波長の光を選択します。
  答えは「オ」です。

(気象庁HP . ブリュワー分光高度計)

(c) シーロメータは内部の投光部から上空に
 
向けてレーザー光を照射し、雲によって
  反射した光が戻ってくるまでの時間から
  雲底高度を算出します。レーザー光は
  直線状であるため、シーロメーターの
  直上に雲が無いと観測できないという
  性質があります。答えは「ウ」です。

(気象庁HP . シーロメーター)
 

よって回答はです!









ポイント解説
(a) ウィンドプロファイラは地上から上空に
 
向けて電波を発射し、大気中の風の乱れ
  などによって散乱され戻ってくる電波を
  受信・処理することで、上空の風向・風速
  を測定するものです。地上に戻ってきた
  電波は、散乱した大気の流れに応じて周
  波数が変化しているので(ドップラー効果
  という)、発射した電波の周波数と受信
  した電波の周波数の違いから大気の動き
  がわかります。受信するのは周波数で電
  波の強度ではありません。答えは×です。


(気象庁HP . ウィンドプロファイラの観測原理)

(b) 雨が降っている場合、ウィンドプロ
  ファイラの観測するデータは雨粒の
  動きになります。これは、大気による
  電波の散乱より雨粒による散乱の方が
  強いためですが、 雨粒は風に流されて
  いるので、雨粒の動きから風向・風速
  が分かります。このときの鉛直方向の
  観測データは、雨粒の下降速度を捉え
  たものとなります。答えは〇です。

(c) ウィンドプロファイラは大気が乾燥して
  いると大気が湿っているとき(水蒸気が
  多い)よりデータを得にくくなります。
  得られる高度が低くなるんですね。
  答えは×です。

(d) ウィンドプロファイラの分解能は300m
  ごとに観測されます。接地境界層は厚さ
  が約100m前後ですので、風の詳細な鉛直
  構造を把握するのには適していません。
  答えは×です。


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ポイント解説
(a) 「CFL 条件」は情報が伝播する速度が
  実際の現象が進む速さ以上でなければ
  いけないという条件で、
  格子間隔/積分時間間隔>流れの速さ
  で表されます。
  これを満たさなければ、計算により流れ
  に沿って情報を伝えることができなくな
  り、計算が破綻(意味のない数値が出力
  される)してしまうことになります。
  答えは格子間隔です。


(b) (a)の解説より答えは積分時間間隔です。

(c) (a)の計算式に数字をいれて計算してみま
 
しょう。格子間隔2kmで風速50m/sなの
  で単位をそろえると2000m/〇>50m/s
  となり〇<40sですね。つまり積分時間
  間隔は40sより短くしないといけないと
  いうことになります。答えは40秒です。


(d) 水平分解能を2倍にすると、格子点は4倍
  になります。これは口が田なることを思い
  浮かべると縦と横が2倍ずつになったので
  2×2で4倍という考え方です。
  次に格子間隔が1/2になると積分時間間隔
  も1/2となるため計算回数は2倍にしない
  といけません。(c)で考えると格子間隔が
  1000mで風速50m/sを満たす積分時間間
  隔は20sとなり、計算回数を2回実施しない
  と2000mの現象を表現できないことになり
  ます。なので答えは水平分解能を2倍にする
  には縦×横×計算回数=8倍の計算量が必要
  ということになります。


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ポイント解説
(a) 天気予報ガイダンスは、数値予報の結果に
 
含まれる系統誤差を補正したり、数値予
  報で直接には計算しない降水確率などの
  要素を算出したりすることによって、
  予報作業を支援するための応用プロダク
  トのひとつです。答えは〇です。


(b) カルマンフィルターなどの統計手法を用い
  て気象要素を予測すると、発生頻度の高い
  現象を予測するのに適した予測式となり、
  発生頻度の低い大雨や強風などは実況に
  対して予測頻度が低くなります。
  しかし気象予測ではこれらの現象を当てる
  ことが防災などの観点からは重要である
  ため平均的な予測誤差が多少悪くなっても
  発生頻度の低い現象の予測精度を上げたい時
  に頻度バイアス補正を用いています。頻度
  バイアス補正を用いることのメリットは強風
  や大雨などの捕捉率を向上させることができ
  る点でありますが、空振り率が増加してしま
  うデメリットもあります。答えは〇です。


(c) 数値予報の系統誤差は、場所や時刻、対象
  時刻、予報時間、季節などで変化するため、
  1つの予測式ですべてに対応することはでき
  ません。バイアスの特性に応じた適切な誤差
  の補正が期待できます。
  答えは〇です。



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ポイント解説
(a) モデルの地形に応じて算出されると場所
  によって(以下例ではA点やB点など)
  実際との地形との差が生じるため、気温
  に対しても系統的な誤差が生じる場合が
  あります。答えは〇です。

(気象庁HPより)

(b) 局地モデルでは分解能が高いため局地的
  な現象を表現することができますが、
  位置ずれや時間ずれに注意をする必要が
  あります。答えは〇です。

(気象庁HPより)

(c) アンサンブル予報の平均結果は個々の予報
  よりも精度がわるくなることがあります。
  答えは×です。

(気象庁HPより)



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ポイント解説
(a) 前線は異なる性質(温度や湿度など)の
  空気塊がぶつかるときに発生します。
  寒冷低気圧や台風などは同じ性質の空気
  でできているため、前線は伴いません。
  答えは×です。

(b) 寒冷低気圧は上空のジェット気流が原因
  となって起こるため、中上層の高度では
  低気圧性循環が明瞭で、地上では不明瞭
  となります。答えは〇です。

(c) 寒冷低気圧の中心では寒気が強く対流圏
  界面が下がり周辺では気温が高くなります。
  答えは×です。

(d) 問題文の通りで答えは〇です。動画は5月に
  上空約5500メートルで氷点下21度以下の
  この時期としては強い寒気を伴った低気圧
  の影響で、日本海側を中心に大気の状態が
  非常に不安定となりました。

https://www.data.jma.go.jp/video/data/kansoku/himawari/2024/j20240516.mp4
(気象庁HPより)


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ポイント解説
(a) 竜巻は沿岸部で発生する傾向はあります
  が、ダウンバースト、ガストフロントは
  その傾向はありません。答えは×です。



(b) 問題文の通りです。答えは〇です。

(c) にんじん状雲は、特に穂先部分では豪雨、
  突風、雷、降雹などの顕著現象を伴うこと
  が多く、風上側に伸びる対流雲列上に発生
  することもあります。にんじん状雲のライ
  フタイムは、ほとんどが10時間未満です。
  一般的に発生しやすい条件は以下でになり
  ます。
  ・発生場所は、主に海上で、地上低気圧中
   心付近や前線近傍・暖域である。
  ・対流圏下層の暖湿気の流入(暖湿移流)
   とその上への乾燥空気の流入が顕著である。
  ・対流圏上層には、相対的な強風帯、明瞭
   な鉛直シア及び上層発散がある。

  答えは〇です。


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ポイント解説
(a) 赤外画像、可視画像とも暗いですね。
  霧または下層雲が発生していると考え
  られます。答えは〇です。

(b) Bでは地形性の巻雲が発生しています。
  答えは〇です。

(c) 赤外画像で明るいので上層の雲、可視
  画像では波状雲が確認できます。
  答えは〇です。

(ウェザーニューズ . 波状雲)

(d) 赤外画像、可視画像とも明るく、上層まで
  発達した対流雲が確認できます。
  答えは〇です。

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ポイント解説
(a) ダウンバーストが発生しているというこ
  とは鉛直安定度が悪く大気が不安定
  (対流不安定)であることを示唆して
  います。対流不安定なるのは相当温位が
  上空に向かい小さくなっているとき
  です。
  それが見られるのは「ウ」となります。


(b) 湿度0%の相当温位は温位、湿度100%の
  相当温位は飽和相当温位です。雪やみぞれ
  が観測されているということは地上付近で
  相当温位が飽和相当温位に非常に近い状態
  だと考えられます。また寒いので飽和相当
  温位も小さくなるはずです。

  これらを考慮すると答えは「ア」です。

(c) 移動性高気圧があり、晴れているとうこと
  は地上付近は逆転層になる可能性がありま
  す。問題文から9時であれば夜間の放射冷
  却が強まっていた影響で、接地性逆転層
  が発生する可能性が強まり
ます。
  答えは「イ」です。


よって回答はです!






ポイント解説
(a) これは問題文の通りで台風は遠心力+コリ
  オリ力=気圧傾度力となる傾度風で近似
  でき地上付近では中心に摩擦により向か
  う流れが生じます。答えは〇です。

(b) 台風が南から北に向かって進んでいるとき
  に風向が時計周りになるのは下図の地点B
  のように進行方向の右側に位置していると
  きです。答えは〇です。



(c) 風速が強まるのは中心から100km付近で、
  高度が大気境界層の上端付近、約2kmの
  ところになります。対流圏中層と対流圏
  界面の間というのは間違いになります。
  答えは×です。

(d) 台風が温帯低気圧化するとき、中心付近
  の最大風速は小さくなるものの、強風域
  の範囲が広がったり、風が中心から離れ
  たところで最も強くなったりすることが
  あります。答えは〇です。

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ポイント解説
(a) 問題文の通りです。答えは〇です。

(b) 降水短時間予報では、6時間先までは
 
10分間隔で発表され、各1時間降水量
  を1km四方の細かさで予報します。
  7時間先から15時間先までは1時間間隔
  で発表され、各1時間降水量を5km四方
  の細かさで予報します。答えは〇です。


(c) 問題文の通りで7時間先から15時間先ま
  ではメソモデルと局地モデルを組み合わ
  せて予報を行っています。答えは〇です。


よって回答はです!






ポイント解説
(a) 問題文の通りです。答えは〇です。

(b) 問題前半は正しいですが、竜巻注意情報が
  発表されるのは発生確度2となっている
  地域に対してです。答えは×です。

(気象庁HP . 竜巻発生ナウキャスト)

(c) 気象ドップラーレーダーによるメソサイク
  ロンの検出結果も使用しています。
  答えは〇です。

(気象庁HP . 気象ドップラーレーダー)

(d) ⻯巻発⽣確度ナウキャストは数値予報の
  結果も利用しています。答えは×です。

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ポイント解説
(a) 予報区AとBの見逃し率が同じであるため、
  下表の右上の数字が等しくなります。
  よって予報区Aの?は1となるため予報で
  なし、実況がありとなり空欄に入るのは
  〇となります。答えは〇です。



(b) 適中率は予報区Aで3/5、予報区Bで3/5な
  ので同じとなります。答えは×です。



(c) 空振り率は予報区Aで1/5、予報区Bで1/5な
  ので同じとなります。答えは×です。



よって回答はです!







ポイント解説
(a) 図Aの500hPaの平年差と似ているのは
  ラニーニャの方ですね。日本付近では
  高度が低くなっておりエルニーニョで
  は逆の現象が起きていますね。
  答えは「ラニーニャ」です

(気象庁 . 2018/2019年冬の天候と大気循環
場の特徴、2010/2011年に発生した
ラニーニャ現象)


(b) 北極振動は北極域と中緯度域のあいだが
  逆符号となるほぼ同心円状の偏差パターン
  で、北極振動がプラスであれば北極域が
  低圧偏差、中緯度が高圧偏差となり日本
  付近では温和な天候となります。
  (北極振動マイナスはこの逆)
  ユーラシアパターンは冬の日本の天候に
  影響を与えるテレコネクションパターン
  の1つです。ヨーロッパからユーラシア
  大陸北部を通り日本付近にかけて、正負
  の高度の偏差域が波列状に並びます。
  問題文から答えは「ユーラシアパターン」
  です。


(c) 図Bを見るとアリューシャン列島の東側は
  オレンジ色で気圧が高くなっており、
  低気圧の勢力は平年より弱いことがわか
  ります。答えは「弱い」です。
  答えは×です。




よって回答はです!



終わったー!!!皆さん、お疲れさまでした。

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