第55回 気象予報士試験 専門知識 

第55回専門知識 専門試験

問1 地上気象観測と観測結果

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 極値というのはある期間に観測された値の
  最大値または最小値のことを言います。
  同一期間内に極値となる値が2つ以上現れた
  場合には、起日(起時)の新しい方を極値
  とします。例えば以下のように3時から4時
  の間でみると最大値となる3時20分と40分
  で二つありますが、極値を問われた場合、
  3時40分が極値となります。答えは〇です。

(b) 日照時間とは一日のうちで直達日射量が
  120W/m2である時間と定義されています。
  いわゆる太陽からくる直射日光を計測したもの
  になりますね。一方で全天日射量は直達日射量
  と散乱日射量の合計になります。
  つまり太陽から直接光のみならず、空気中の
  ちりなどで散乱したものが地表に到達する
  散乱光も加味されています。答えは×です。

(c) 平年値は平均的な気候状態を表すときの用語で、
  50年ではなく30年間の平均値になります。
  答えは×です。

(d) 夏日は最高気温が25℃以上、冬日は最低気温が
  0℃未満を指しますので、どちらも違いますね。
  ちなみに真夏日は最高気温が30℃以上、
  猛暑日は35℃以上、真冬日は最高気温が
  0℃未満を示しますので合わせて覚えておき
  ましょう。なお、例えば猛暑日は35℃以上です
  が、夏日にも含まれるため、夏日という言い方
  をする場合もあります。答えは×です。

よって解答はです!

問2 ウィンドプロファイラ観測

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) ウィンドプロファイラの説明は問題文の通り
  です。周波数のずれを観測して風向・風速を
  測定しています。答えは〇です。

(b) 激しい降水域を通過する場合、電波が減衰し、
  弱まりその先のデータを取得できない場合が
  あります。答えは〇です。
 

(c) 上空の気温が0℃前後の層を電波が通過する際、
  凍っていた雪が、雨へと変わっていく途中の
  一回り大きくなったみぞれをレーダーが必要
  以上に強く反射してしまうことで周囲より相
  対的につよい、エコーが検出されます。
  これをブライトバンドと呼びます。
  答えは〇です。

(d) 上空が乾燥していると散乱されてもどってくる
  電波が弱くなり、観測高度が低くなります。
  逆に湿度が高く、降水粒子や水蒸気が多い状態
  であれば散乱されてもどってくる電波が多いため
  観測高度は高くなります。答えは〇です。


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問3 気象レーダー観測

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 竜巻は直径が数十~数百メートルしかなく、
  気象ドップラーレーダーで観測されるドップ
  ラー速度の解像度では検出できません。
  一方で積乱雲の中には直径数キロの大きさを
  もつ低気圧性の回転(メソサイクロン)が
  あり、この大きさの渦は気象ドップラー
  レーダーで観測することができます。
  答えは〇です。

(b) 電波の異常伝播は気温が高度とともに急増する
  など、屈折率が高さ方向に変化する場合に発生
  します。たとえば、高気圧内の下降気流や、
  夜間の放射冷却、海陸風による温度の異なる
  空気の移流などがあげられます。答えは〇です。

気象庁HP

(c) 二重偏波レーダーでは反射波の振幅の縦横の
  比で降水粒子の形状を取得することができる
  んですね。答えは〇です。

気象庁HP



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問4 数値予報モデル

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 先の天気を予想する数値予報では、安定した
  計算を行うために、CFL条件を満足する必要
  があります。

  CFL 条件というのは情報が伝播する速度が
  実際の現象が進む速さ以上でなければ
  いけないという条件で、
  格子間隔/積分時間間隔>流れの速さ
  で表されます。
  これを満たさなければ、計算により流れ
  に沿って情報を伝えることができなくな
  り、計算が破綻(意味のない数値が出力
  される)してしまうことになるんですね。

  気象庁の全球解析の仕様では積分時間間隔は
  300s(格子間隔については2023年3月から
  20kmから13kmに変更されているので注意)、
  メソ解析の仕様では積分時間間隔は33秒
  (格子間隔は5km)です。答えは×です。

(b) 従来、予報計算を開始する初期時刻に近い
  時刻の観測値のみを使用し、大気状態を
  作成していました。4次元変分法では時間的
  に連続した観測値と数値予報で用いられて
  いる風や気温、気圧などのふるまいを初期
  時刻だけでなく、その前後に観測された値
  も用い連続的に解析を行うことにより精度
  の高い予報結果を得ることができています。
  答えは〇です。

気象庁HP

(c) 局地モデルはメソモデルから、メソモデルは
  全球モデルからといった具合に境界のデータ
  は上位モデルから借りてくることになります
  が、その影響については時間がたつほど大き
  くなります。答えは×です。

(d) 非静力学モデルであるメソモデルでもパラメ
  タリゼーションは使用されています。
  答えは×です。


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問5 メソモデル

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 各メンバーの予測精度はメソモデルより予測
  精度が劣ります。答えは〇です。

気象庁HP

(b) 問題文の通りで、アンサンブル予報では複数の
  メンバーの予測結果を用いることにより激しい
  気象現象が発生する可能性について早い段階で
  把握することができます。答えは〇です。

(c) アンサンブル予報による複数の予想から、雨量
  や気温などの確率分布を計算でき、これを活用
  することでメソモデルより精度の高い予報を行
  なえる可能性があります。答えは〇です。



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問6 高解像度ナウキャスト

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 高解像度降水ナウキャストは、降水域の発達、
  衰弱のみならず、積乱雲の発生の予測にも
  取り組んでいます。また混乱しがちな降水
  短時間予報、降水ナウキャスト、高解像度
  ナウキャストの違いは以下に記載しています
  ので、覚えておきましょう。答えは×です。

降水短時間予報
・6時間先までは解析雨量(降水の強弱も加味)、

 7~15時間先ではメソモデルと局地モデルを
 使用して降水量分布を作成。
・6時間先までの10分毎の降水の強さを1km四方で

 予報。
・7時間先から15時間先では1時間ごとに降水の

 強さを5km四方で予報
・降水域の発達・衰弱、発生も予想

降水ナウキャスト
・気象庁のレーダーの観測結果を雨量計で補正し

 初期値としている。
・1時間先までの5分毎の降水の強さを1km四方で

 予報。
・降水域の発達・衰弱を予測、発生は予測しない。

高解像度ナウキャスト
・気象庁のレーダーのほか国土交通省レーダ雨量

 計を利用し、さらに雨量計や地上高層観測の
 結果等を用いて地上降水に近くなるように解析
 を行って予測の初期値を作成。
・30分先まで5分毎の降水の強さを250mの解像

 度で予測。
・降水域の発達・衰弱、発生も予想

(b) 降水短時間予報では降水の強弱も加味してい
  ます。答えは×です。

(c) メソモデルだけでなく、局地モデルも使用して、
  数値予報を行っています。答えは×です。


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問7 天気予報ガイダンス

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) ガイダンスは簡単にいうと、数値予報で出て
  きた数値結果を、実際の観測値や過去の数値
  予報結果をもとに予測式を作り、天気予報で
  よく見る、降水確率や気温、晴れ曇りなどの
  天気にわかりやすく変換することを言います。
  この変換の際に系統誤差と呼ばれる地形の違い
  も考慮し、誤差を低減させることができます。
  答えは〇です。

気象庁HP


(b) これは系統誤差ですので、ガイダンスに
  より低減できます。答えは〇です。

(c) 放射冷却についてはランダム誤差の要因
  も含んではいますが、天気や地形、地域
  などの変化しない系統に依存する因子も
  大きいですので、系統誤差とみなします。
  答えは×です。

(d) カンマフィルターは予測式に使用される
  係数を最新の観測値の情報を取り込み
  ながら逐次更新します。つまり大きな降水
  量が観測されると、それを都度反映し予測
  式を作成しますので、実際より大きな値が
  出力されます。発生頻度が低い現象への
  対応は悪いです。答えは〇です。


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問8 前線の特徴

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 前線を断面で鉛直方向にみてみると、下層は
  寒気で上層は暖気の構図になりますね。
  寒気と暖気の境目は逆転層になりますので、
  絶対安定の層となります。答えは×です。

(b) 地上天気図では寒冷前線の転移層が地表
  面と交わる暖気側の境界を寒冷前線と
  しています。答えは×です。

(c) 一般的に温暖前線面上では下層、中層では
  乱層雲、高層雲、上層では巻雲、巻層雲
  など層状の雲が形成され広い範囲で地雨が
  発生します。一方寒冷前線面では積乱雲が
  形成され、狭い範囲で驟雨が観測されます。
  答えは〇です。

(d) 温暖前線のすぐ北にある点での時計回りに
  変化します。以下の模式図で考えてみま
  しょう。左が地上の低気圧を上から見た
  図です。まず低気圧は反時計回りに風が
  吹きますね。そして温暖前線の北側の黄色
  の点の風向の鉛直分布を見たのが右側の図
  です。
  下層は①の風が吹き、上層では暖気が前線
  面に乗り上げますので、②の風が吹くイメ
  ージです。回転方向を見ると、時計回りで
  すね。時計回りであるということは暖気移
  流があることを示しています。
  答えは〇です。



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問9 気象衛星画像

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 赤外画像や水蒸気画像を見てみると、バル
  ジ状の厚い雲域の他、ドライスロットと
  呼ばれる低気圧中心に向かって乾燥した
  空気が流れ込んきていますね。これはト
  ラフが低気圧中心付近にきて閉塞前線が
  形成されると、トラフの後面で生まれる
  下降気流が断熱昇温したことによる乾燥
  空気が流れ込んでいる様子を示しています。
  温帯低気圧の最盛期の特徴を表しています。
  答えは「すでに閉塞している」です。

(b) 三陸沖の低気圧の中心は北緯41°、東経146°
  で寒冷前線に対応する対流雲の雲列が南
  または南西に方向に連なっています。
  答えは「146」です。

(c) 南西諸島から日本の南海上では強風軸に
  対応するCiストリークが確認できます。
  問題文から強風軸とありますので対流雲の
  集合体であるクラウドクラスターではなく、
  Ciストリークということがわかります。
  答えは「Ciストリーク」です。



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問10 台風接近数

気象業務支援センター

ポイント解説
まず、台風の接近が最も多いのは沖縄地方にな
ります。これは台風の進路や報道などでも感覚
的にわかるかと思います。次にCとDをみると
接近数はほぼ同じで、時期が、Cの方がDにく
らべやや後ろであることがわかりますね。

問題文にDが四国地方とありますので、四国より
も距離的に大きく離れておらず東にある地方を
考えると、Cは関東地方及び甲信地方となります。

そして最後にBですが、解答から消去法で、
伊豆諸島および小笠原諸島となります。
伊豆諸島や小笠原諸島は沖縄についで多いと
いうことは覚えおいてもよいかと思います。


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問11 竜巻

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) ろうと雲は竜巻に巻き込まれた空気中の
  水蒸気が急激な気圧低下により凝結して
  生じます。答えは〇です。

(b) 竜巻は施衡風の一種で、気圧傾度力と
  遠心力がつりあって吹く風になります。
  コリオリ力より遠心力の方がかなり大き
  いためその影響は考えません。
  また反時計回りだけでなく、時計回りの
  竜巻も観測されています。答えは×です。

(c) 問題文の通りで、数十kmに達する場合も
  あります。答えは〇です。

(d) 竜巻などの激しい突風は藤田スケールを
  用いて評価されます。被害が大きいほど
  Fの値が大きくなります。
  日本ではF4以上の竜巻は観測されていま
  せん。答えは〇です。

気象庁HP



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問12 台風に関する気象情報

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 台風は毎年1月1日以降最も早く発生した
  ものを第1号として、台風の発生順に番号
  が付けられます。
  一度発生した台風が熱帯低気圧となり、
  再度台風になる場合は同じ番号が付けら
  れます。答えは×です。

(b) 問題文の通りです。答えは〇です。

(c) 問題文の通りで最長で5日先までの進路
  予想と強度予報(中心気圧、最大風速、
  最大瞬間風速、暴風警戒域)が発表され
  ます。答えは〇です。


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問13 週間天気予報

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 予報期間の2日目から7日目までは予想降水
  量ではなく、降水確率を発表していますね。
  答えは×です。

(b) 予報の信頼度はA、B、Cで発表します。
  信頼度がAでは明日に対する天気予報と
  同程度の予報精度になります。
  答えは〇です。

(c) 予報期間の2日目から7日目までの最高・
  最低気温には予測範囲(例えば最高気温
  (13~20)など)が示されており、この
  範囲に入る確率はおよそ80%です。
  答えは〇です。

(d) 警報級の現象が5日先までに予想されて
  いるときは、その可能性を早期注意情報
  として高、中の2段階で発表しています。
  警報級の現象については人命や社会的影響
  が大きいため、可能性が高いことを示す
  「高」だけでなく、可能性は高くないが
  一定程度認められることを表す「中」も
  発表しています。
  答えは×です。


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問14 ガイダンス

気象業務支援センター

ポイント解説
このグラフは問題文から真夏日となる確率を
予測するガイダンスになります。つまり判定
基準を50%としたときに、ガイダンスの値が
50%以上で真夏日であれば適中、真夏日でな
ければ空振り、50%未満で真夏日でなければ
適中、真夏日であれば見逃しとなります。

なお、見逃し率は現象が起きる予想をしてい
なかったのに、起きる割合を表し、空振りは
現象が起きる予想をしていたけど起きなかった
割合を指します。

まず判定基準が50%での適中数、空振り数、
見逃し数はそれぞれ7、1、2となり、判定
基準が45%での適中数、空振り数、見逃し数は
それぞれ7、3、0となります。

適中率は判定基準を変更しても「同じ」で、
空振り率は「増加」していますね。見逃し率を
下げるには判定基準を「低く」すればよいこと
がわかります。

よって解答はです!

問15 大気の循環場

気象業務支援センター

ポイント解説
(a) 問題文から太平洋赤道域中部は対流が不活
  発でインドネシアで対流が活発ということ
  なので、ラニーニャ現象の特徴が見られま
  す。

  外向き長波放射量(OLR)とは宇宙に向か
  って放出される赤外線の強さのことを言い
  ます。積乱雲が発達して対流活動が活発で
  あると、雲頂高度が高く、温度は低いため
  OLRは小さくなります。OLRが小さいと
  対流活動が活発であることを表しています。
  ただこの問題では前段の知識があればOLRの
  ことを知らなくでも正解はできますね。
  答えは×です。

(b) 図を見ると亜熱帯ジェット気流は日本付近で
  南に蛇行していることがわかります。
  答えは×です。

(c) 図Cを見ると日本付近では高度が低く、
  シベリア付近で高度が高いつまり、日本
  付近では気温が低く、シベリア付近では
  気温が高いことを意味しています。

  ジェット気流が蛇行し日本付近を通過し
  ている様子も図から読み取れますのでその
  北に広がる寒気が日本を覆い南下しやすく
  なります。答えは〇です。




よって解答はです!

終わったー。皆さん、お疲れさまでした!

第54回 気象予報士試験 専門知識 

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