皆さんこんにちは!気象予報士のyoshi.です。
神社は古来より、人々の暮らしや自然と深く結びついてきました。
四季の移ろい、天候の変化、農作物の豊凶、災害への祈り。
そのすべてが気象と密接に関係しています。
そして神社の中心に立ち、祭事や地域の暮らしを支える存在が「神職(しんしょく)」です。
近年は、豪雨・台風・地震などの自然災害が増加傾向にあり、地域防災の観点からも神社の役割が再評価されています。
そんな流れの中で、「気象の知識を持つ神職」という新たな価値観が注目されても良い時代になってきました。
実際、神社は多くが地域の高台に位置し、避難場所として活用されるなど、防災拠点としての役割を持つケースもあります。
本記事では、神職とはどんな職業なのか、資格取得の流れ、神社での活躍、さらには将来性や課題まで、気象分野の視点を交えながらわかりやすく解説していきます。
神職とは?
神職(しんしょく)とは、神社本庁または各神社の祭祀に奉仕し、神社の運営・管理・地域への貢献を行う専門職です。
一般的には「神主さん」とも呼ばれますが、正確な職名は「神職」です。
神職の主な役割
神職の主な役割を紹介します。
基本的には祭祀の執行という祭り行事などで、神様に祈りをささげる儀式や地域の祭礼などを執り行います。
神社境内の管理や清掃の他、参拝者対応や地域住民との交流なども大切な仕事です。
また皆さんも経験ある初宮参り、七五三など人生儀礼の対応も行うことも主な役割となっています。
神職は儀式や祭事をとり行うことが中心で、神様に祈りをささげ、感謝の気持ちを伝えながら、神様と人々をつなぐ大切な役割をになっています。
神職の階位と階級
神職には階位と階級があるのはご存じでしょうか。
階位は神職の学術的な能力を示すもので、神階、正階、明階、権正階、直階とわけられます。
最初は直階からスタートし、研修や検定試験により階位が上がります。
階級は神社での経験や功績に基づいて袴の色や文様で視覚的に把握することができます。
階級も5段階。
宮司(ぐうじ)、権宮司(ごんぐうじ)、禰宜(ねぎ)、権禰宜(ごんねぎ)、出仕(しゅっし)。
宮司は神社の最高責任者、権宮司は宮司の補佐、禰宜は中堅的なポジションで、神事の準備や日常の社務を行い、権禰宜は禰宜の補佐、出仕は新人の位置づけです。
袴の色は上から白+白の文様、紫+白の文様、紫+薄紫の文様、無地の紫、薄い青緑で、白い袴を着ている人は全国でもほとんどいないため、出会ったらレアキャラ、相当えらい人になります。
最近では京都の大原神社で昇級された方が白い袴を着用しておられますね。
試験内容と認定要領
神職になるには、神社本庁が定める資格の取得が必要です。
大きく2つのルートがあります。
大学(神道系学部)で取得するルート
國學院大學や皇學館大学など、神道学科を備える大学で所定の科目を履修し、卒業と同時に神職資格(階位:直階・権正階など)が取得できます。
履修科目には神道学や神社祭祀、実技(祭式作法)、日本文化・歴史など。
大学で学ぶ場合は、学術的な神道理解と実務が体系的に学べるのが大きなメリットになります。
神社本庁の研修機関で履修するルート
大学以外にも、神社本庁の研修所(総合神職養成所)で学び資格を取得できます。
伊勢神宮で学ぶ 皇學館神道学専修や神社本庁 神職養成講習会などです。
研修内容としては神社祭式の実習や神道基礎学、作法・祓えの実技、日本文化・歴史などを学びます。
期間は数週間から数ヶ月までさまざまで、大学で神道学を履修していない社会人でも参加可能です。
神職が活躍できる業界(神社)
地方から都市部にかけて日本各地にある神社で幅広く活躍が期待できます。
ほとんどの神職は地域神社に所属し、祭祀運営や社務を行います。
兼務社を持つ場合も多く、複数の神社を掛け持ちして奉仕することも。
気象予報士資格をもつ神職が活躍できる神社を一挙ご紹介していきますね。
地域神社(気象関連)
気象神社(東京都高円寺)
氷川神社HP
まず日本で有名な気象神社として知られている、高円寺氷川神社。
映画天気の子の聖地としても知名度は高いですね。
祭神として天候をつかさどる、八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)を祭っています。
実は、この神社の神職(禰宜)、紺谷さんは元商社マンで気象予報士の資格を有した気象神職であることは意外と知られていないのではないでしょうか。
神社庁が行うプログラムで学び、1か月という短期間で資格を取得したとのこと。
お天気フェスを開催したり、気象観測機を境内に設置し観測に使用したりと面白い取り組みをされています。
海外からの参拝客も多く、世界的にも知名度が上昇している神社です。
晴明神社(京都府京都市)
晴明神社HP
晴明神社は陰陽師として名高い安部晴明を祭る神社です。
陰陽道に基づき、自然現象を読み解く力があったとされており、天候とも深いかかわりがあると考えられてきました。
「晴」という文字が名前に入っているだけでも、天候に関わる人物だったのかなと想像してしまいますね。
安部晴明は雷や雨を自在に操っていたという伝説も残されていることから、天候にまつわるご利益を期待する人もいます。
農作物の豊作や行事での晴天を祈願する形で信仰の対象となっています。
住吉大社(大阪府)
住吉大社HP
住吉大社は全国の住吉神社の総本社です。
その祭神である住吉三神は、航海の安全を守る神様として崇拝されてきました。
航海の守護神であることから、海や水、風雨といった天候をつかさどる神様として信仰されています。
境内には海の神様、ワタツミ三神をまつる大海神社もあり、水や海に関するご利益があるとされていますね。
台風や嵐、豪雨といった水に関する天候に関連し、様々な願い事に応えると信じられています。
雷電神社(群馬県板倉町)
雷電神社HP
雷電(らいでん)神社とは、日本各地に存在する「雷」を司る神を祀る神社の総称です。
特に群馬県や埼玉県を中心に多数分布しており、雷を「実りをもたらす力」「大地を目覚めさせる力」として崇める信仰が古くから根付いています。
古代の人々にとって、雷は恐ろしい自然現象である一方、農耕にとっては雨を呼ぶ恵みの象徴でもありました。
現在では雷災害(落雷・雷雨・ゲリラ豪雨)が増加していることから、落雷防徐、風水害の鎮静、気象災害からの守護を祈願する参拝者も多く、神社としての役割が時代を超えて継承されています。
特に雨がよく降る梅雨シーズンでは雷除けや雨ごい、など天候にまつわる行事が行われます。
雷電神社は、気象災害による安全を祈願するとともに、自然と人間が共存してきた歴史を象徴する、非常に気象色の強い神社です。
風巻神社(新潟県上越市)
風巻神社HP
風巻神社(かざまきじんじゃ・かぜまきじんじゃ)は、文字通り「風」を司る神を祀る神社で、宮城県・山形県など東北地方に広く分布しています。
「風を巻く」「風を鎮める」という名称の通り、風害からの守護や、農作物を守るための祈祷が行われてきました。
風巻神社では、風の神である 級長津彦命(しなつひこのみこと) が祀られています。
『古事記』にも登場し、風そのものを司る神格として知られています。
台風・強風、風害の鎮静、稲作の生育を助ける風など風に関わるあらゆる要素を支配すると考えられていました。
現在では台風・暴風から地域を守護する信仰として、海沿い地域では漁業の守護神として、なにより気象災害が増える昨今、地域の安全祈願として参拝者が増えている神社です。
大規模神社や神社庁
伊勢神宮
伊勢神宮は「太陽の神」を祀る、日本の中心的な神社です。
気象という視点で見ると、太陽光(気温・光合成・季節変化)など、大自然のサイクルを象徴する神社といえます。
天照大御神は「太陽の神」として知られ、日の出、四季のめぐり、稲作の成長を象徴する存在。
太陽は気象を支配する中心的な要素であり、天照大御神を祀る伊勢神宮は自然現象の中でももっとも根源的な「光」を司る神社といえます。
太陽は地球の気象を動かす最大のエネルギー源であり、気温の上昇、雲の発生、降水のメカニズムなど、すべての気象現象は太陽エネルギーの作用によるものですよね。
伊勢神宮は、その根源を司る神を祀るという点で、気象の“源”と結びつく神社と言えるのではないでしょうか。
また、気象防災の知識を持つ神職は地域貢献度が高く、参拝者の安全管理などにも生きるため重要な役割を担うはずです。
出雲大社
出雲大社は「縁結びの神」として有名ですが、気象との結びつきも非常に深い神社です。
その理由は、祀られる神の性質と、出雲地方の気候風土にあります。
大国主大神は国造り農耕海と風との関わり生命力を象徴する多面的な神です。
国造りの物語の中には、風・雲・雨・雷など自然の力を操る要素が数多く登場し、大国主大神は「自然との調和」を体現した神と言えます。
大規模神社では、専門分野に分かれて働く神職もいます。
研究業務や海外対応(国際交流)などの機会もあり活躍が期待できます。
神社庁・神社会館
神職と聞くと、多くの人が「神社の境内で祭りを執り行う存在」をイメージするかもしれません。
しかし神職の活躍の場は神社だけではなく、「神社庁」や「神社会館」といった神社組織の運営に携わる専門職として働く道もあります。
これらの機関は、日本全国の神社をまとめ、地域の祭祀支援や教育、文化の継承、広報、防災活動など、多岐にわたる役割を担っています。
神社の裏側を支え、地域と神社を繋ぐ非常に重要な場所です。
特に近年では、気象災害が増える中で、神社庁や神社会館に所属する神職が「気象・防災教育」を担当するケースも増えており、「神社×地域防災」という新たな価値も生まれています。
神職の課題
ここからは神職の課題について考えていきます。
【課題①】少子化で後継ぎ不足
地方の小規模神社では、神職を担う人材が不足しています。
高齢化が進み、地域行事の担い手が不足する中、神職が担う役割は増えています。
今後その範囲は中規模、大規模神社にも広がると予想されており、どのように運営をしていくか検討の余地があります。
【課題②】収入の安定性
神社の収益は祈祷料・授与品・祭礼費などに依存しており、規模や地域で大きく差があります。
決して収益が多いとはいえず、神職以外の活動も並行で進めながら、収益を安定させる工夫が必要になると考えられます。
神職の将来性
神職の将来性は課題もある一方で、以下の分野で需要が高まる可能性があります。
【将来性①】地域防災の拠点としての神社
神社は堅牢な社殿・広い境内を持つため、避難場所として指定されることがあります。
災害時の避難場所としての重要性から、気象知識を持つ神職の価値は上昇すると考えられます。
どのようにその知識を生かすかは神職の腕にかかっています。
【将来性②】観光・地域振興との連携
インバウンド需要の回復により、神社の魅力を外国人に発信する役割が強化されます。
既に神社には多くの外国人も訪れているところもあり、認知度をより高めることができればさらに集客を増やすことができる可能性をひめています。
例えば、オンライン祈祷や境内のデジタル案内、SNS運用など神社を一新する工夫など。
最近では、プロジェクションマッピングを導入した氷川神社は大行列となったそうです。
斬新なアイデアを出せる若い神職ほど活躍できるチャンスがあるのではないでしょうか。
氷川神社(大宮)
【将来性③】気象 × 神社の新しい価値
神社は地域の安全・安心にも貢献できる場であり、神職が「気象」に強いことは今後さらに求められる可能性があります。
特に祭り開催判断に気象データを活用したり、防災興和を地域で実施したり、気象・防災アドバイザー的な役割を兼務したりすることで活躍の幅はより広がっていくと考えます。
【仕事図鑑】気象×災害が熱い!気象防災アドバイザーとは?仕事内容や将来性を解説!
まとめ
神職とは、神社の祭祀に奉仕し、地域の平穏と繁栄を祈る専門職であり、日本の文化を支える大切な存在です。
そして現代においては、神社は単なる信仰の場にとどまりません。
気象災害が増える今、神社は地域の防災拠点としての役割を担い、神職は気象リテラシーを持つことでより大きな貢献ができます。
自然と共存してきた神道の本質を踏まえると、「気象 × 神社 × 神職」という組み合わせは非常に相性が良く、将来性も高い分野だといえます。
気象の知識を取り入れた神職は、地域を守り、人々の安全と暮らしを支える“新しい形の神職像”として評価されるでしょう。
神社の伝統と未来をつなぐ存在として、今後ますます注目が高まる仕事ですね。
最後までお読みいただきありがとうございます!






