第57回気象予報士試験・専門知識の過去問解説です。(合格基準11点以上)
解答だけでなく、「なぜその選択肢が正解・不正解になるのか」まで整理しています。
過去問演習で理解度を確認しながら、自分の現在地もチェックしてみましょう。
問1 ラジオゾンデ
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
ラジオゾンデの高度は、水素やヘリウムの量から計算した上昇速度と経過時間で求めているわけではありません。
現在は主にGPSによる位置情報や気圧などを用いて高度を求めます。
答えは×です。
(b)
昼間は日射で温度計センサーが実際の大気温度より高めに出ることがあります。
しかし、発表される気温観測値には、この日射の影響を補正した値が用いられます。
答えは×です。
(c)
低温になると湿度センサーの応答や精度が悪くなり、正確な湿度測定が難しくなります。
そのため、一定の基準温度以下では湿度データを使用しない扱いがあります。
答えは〇です。
よって解答は④です!
問2 推計気象分布
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
推計気象分布は、天気・気温・日照時間について、1kmメッシュで発表され、1時間ごとに更新されます。
答えは〇です。
(b)
推計気象分布は、観測値そのものではなく、観測データなどをもとに解析した分布です。
そのため、観測所を含むメッシュでも、必ずしもその地点の観測値と完全には一致しません。
答えは〇です。
(c)
天気の推計気象分布では、気象衛星ひまわりによる雲の観測データなどから晴れ・くもりを判定し、解析雨量を用いて降水の有無を判断します。
答えは〇です。
(d)
気温の推計気象分布では、アメダスなどの気温データを使いますが、標高による気温の違いも考慮されます。
答えは×です。
よって解答は①です!
問3 気象レーダー観測
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
気象レーダーの電波は、大気の屈折率分布の影響を受けて曲がります。
異常伝搬が起こると、通常より遠くの地物などを捉え、降水のない場所に強いエコーが出ることがあります。
答えは〇です。
(b)
山岳や建造物などに電波が反射して生じる、動かないエコーはグランドクラッタです。
これは降水エコーと区別され、除去処理が行われます。
答えは〇です。
(c)
レーダーで降水エコーが観測されていても、雨滴や雪片が落下中に蒸発・昇華して、地上に達しないことがあります。
そのため、直下の地上で降水が観測されない場合があります。
答えは〇です。
(d)
気象レーダーの電波は、強い降水域を通過すると雨滴などによって減衰します。
そのため、レーダーから見て強い降水域のさらに遠方では、戻ってくる電波が弱くなり、実際の降水よりも弱いエコーとして観測されることがあります。
答えは〇です。
よって解答は⑤です!
問4 大気現象のスケール
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
一般に、大気現象は空間スケールが大きいほど時間スケールも長く、小さいほど短くなります。
例として、低気圧は数日、積乱雲は数十分〜数時間程度です。
答えは〇です。
(b)
準定常的な超長波、つまりプラネタリー波は、波長が1万km以上にもなる大規模な擾乱です。
チベット高原などの大地形による力学的効果や、大陸と海洋の加熱差による熱的効果で励起されます。
答えは〇です。
(c)
大雨時の降水強度には、数分〜10分程度の短時間変動が見られることがあります。
これは個々の積乱雲の発生、発達、衰弱、移動などによって生じます。
答えは〇です。
(d)
梅雨前線上に発生する温帯低気圧は、通常の温帯低気圧に比べて水平スケールが小さいことがあります。
また、対流圏上層に明瞭なトラフや寒気などの構造が見られない場合も多いですね。
答えは〇です。
よって解答は⑤です!
問5 発雷確率ガイダンス
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
発雷確率ガイダンスは、雷の強度を予想するものではありません。
あくまで、対象領域で一定時間内に雷が発生する確率を示すガイダンスです。
答えは×です。
(b)
ガイダンス値が大きいほど、発雷の可能性が高いことを意味します。
しかし、雷の発生数が多いことまで直接予想しているわけではありません。
答えは×です。
(c)
雷は発生頻度が低い現象なので、逐次学習にはあまり向きません。
そのため、発雷確率ガイダンスは、過去資料を用いた一括学習で求めた回帰式に基づくガイダンスです。
答えは〇です。
よって解答は④です!
問6 大気海洋結合モデル
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
1か月を超えるような長期予報では、エルニーニョ・ラニーニャ現象など、海洋の変動が大気に大きく影響します。
そのため、大気と海洋の相互作用を考慮できる大気海洋結合モデルが用いられます。
答えは〇です。
(b)
大気海洋結合モデルを用いても、予測には不確実性があります。
そのため、単一の初期値だけで精度のよい予測ができるわけではなく、アンサンブル予報の手法は用いられます。
ちなみにアンサンブル予報とは、初期値などに少しずつ違いを与えた複数の数値予報を行い、そのばらつきから予報の不確実性や信頼度を評価する手法のことです。
答えは×です。
(c)
大気海洋結合モデルは、熱帯の海洋だけを特に計算するものではありません。
また、北極域や南極域を予報領域から除外しているわけでもありません。
答えは×です。
よって解答は③です!
問7 寒冷低気圧
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
寒冷低気圧は、偏西風帯のジェット気流がほぼ東西方向にまっすぐ流れているときではなく、大きく蛇行して上空の寒気が切り離されるような場で形成されやすいです。
答えは×です。
(b)
寒冷低気圧は、地上付近よりも対流圏中・上層で寒気核が明瞭です。
成層圏の空気が対流圏側に下降してくるため、同じ高度で見ると、周りの空気より高温となるためです。
答えは×です。
(c)
温帯低気圧の発達期以降である閉塞前線を伴うときに寒冷低気圧が発生します。
このとき地上低気圧と寒冷低気圧を結ぶ気圧の谷の軸は、ほぼ鉛直にちかくなります。
答えは×です。
(d)
寒冷低気圧は偏西風の渦から切り離されたものなので自分の周りには渦を流す風がなくなってしまいます。
そのため一般に動きが遅く、数日程度影響が続くことがあります。
答えは×です。
よって解答は⑤です!
問8 日本周辺の降水現象
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
冬型で日本海上に筋状の対流雲ができ始める位置は、大陸から吹き出す寒気の下層気温が低いほど、海面との温度差が大きくなり不安定が強まるため、大陸の海岸線からの距離は短くなります。
答えは〇です。
(b)
冬型の筋状対流雲は、寒気吹き出しによる不安定で発達しますが、一般に雲頂が対流圏界面まで達することが多いわけではありません。
上空には乾燥寒気の沈降に伴う逆転層があることが多いのでここが雲頂高度となり比較的背の低い対流雲となります。
答えは×です。
(c)
上層の気圧の谷が日本の東へ抜け、低気圧が日本の東海上で発達すると、冬型の気圧配置が強まります。
日本海で等圧線が南北方向に縦じま状に並ぶと、北西季節風により日本海側の山沿いで大雪となりやすく、山雪型になりやすいです。
答えは〇です。
(d)
地上気温が0℃以上でも、湿度が低いと雪片が落下中に蒸発・昇華して周囲の空気を冷やし、雪として地上に届くことがあります。
同じ気温なら、湿度が低いほど雪になりやすいです。
【5分で読める!】雪とは何か?仕組み・発生メカニズムを図解でわかりやすく解説!
答えは〇です。
よって解答は②です!
問9 前線を伴う低気圧
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
赤外画像では暗く、可視画像では白い部分や灰色部分が混在しています。
比較的ごつごつしている点や、渦を巻くような形状をしていることから海氷と判断できます。
答えは×です。
(b)
領域Bは、赤外画像で暗灰色、可視画像では灰から白色で表面は一様に滑らかです。
薄い巻雲の下に霧または下層雲が分布していると判断できます。
答えは〇です。
(c)
領域Cは、赤外画像や可視画像どちらも明るく雲頂高度の高い雲域であることがわかります。
関東付近にはフック状の形状となっており、低気圧の寒冷前線に対応した積乱雲を含む対流雲列であると推定できます。
答えは〇です。
(d)
赤外画像では暗灰色の雲頂高度の低い雲域で、可視画像では筋状の雲域やクローズドセルが東シナ海に現れています。
クローズドセルは雲で閉じている、白い丸いセル、オープンセルは中心が開いている、黒く抜けたセルと覚えておけばわかりやすいでしょう。
答えは〇です。
よって解答は①です!
問10 台風
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
台風は海面水温が 26〜27℃以上の海域で発生しやすい点は正しいです。
ただし、赤道付近、特に緯度5°以内ではコリオリ力が弱く、台風は発生しにくくなります。
【5分で読める!】台風とは何か?仕組み・発生メカニズムを図解でわかりやすく解説!
答えは×です。
(b)
発生直後の台風では眼がはっきりしないことが多いです。
眼が形成され始めるころには、中心付近の構造がまとまり、中心気圧が急速に低下することが多いですね。
答えは〇です。
(c)
台風中心付近では、地表面摩擦により風が等圧線を横切って中心側へ吹き込みます。
その結果、中心付近で収束し、上昇流が強まり、積乱雲が組織化して眼の壁雲を形成します。
答えは〇です。
(d)
台風の発達には、鉛直シアーは弱い方が有利です。
鉛直シアーが強いと、積乱雲のまとまりが崩され、台風は発達しにくくなります。
答えは×です。
よって解答は③です!
問11 警報・注意報
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
警報は、重大な災害がすでに発生したときではなく、重大な災害が発生するおそれがあるときに発表されます。
実際に観測・解析された後だけに出るものではありません。
答えは×です。
(b)
翌日の明け方までに警報級の現象が予想される場合、前日の夕方の時点で注意報を発表し、その中で明け方までに警報に切り替える可能性が高いことを示すことがあります。
答えは〇です。
(c)
早期注意情報には「高」と「中」がありますが、どちらも対象は警報級の可能性です。
「中」は注意報級の可能性が高いという意味ではありません。
答えは×です。
よって解答は④です!
問12 高解像度降水ナウキャスト
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
高解像度降水ナウキャストでは、60分先までの予測のうち、前半30分は陸上と海岸近くの海上で 250m解像度、その他の海上では 1km解像度で予測します。
答えは〇です。
(b)
高解像度降水ナウキャストでは、気象ドップラーレーダーや雨量計だけでなく、ウィンドプロファイラやラジオゾンデの高層観測データも利用しています。
答えは×です。
(c)
高解像度降水ナウキャストでは降水域を3次元的に追跡する手法や、気温・湿度などから雨粒の発生や落下を計算する手法が導入されています。
答えは〇です。
よって解答は②です!
問13 予報と実況の分割表
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
降水ありの予報の適中率を求めてみましょう。
予報区Aの適中率=5/(5+5)=0.5
予報区Bの適中率=4/(4+2)=0.67
答えは〇です。
(b)
降水有無の適中率は以下で求めることができます。
(a)の求め方と異なる点には注意しましょう。
予報区Aの適中率=(5+75)/(5+5+15+75)=0.8
予報区Bの適中率=(4+80)/(4+2+14+80)=0.84
答えは〇です。
(c)
降水ありのスレットスコアを求めましょう。
予報区Aのスレットスコア=5/(5+15+5)=0.2
予報区Bのスレットスコア=4/(4+14+2)=0.2
答えは×です。
よって解答は②です!
問14 流域雨量指数
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
流域雨量指数は、河川の上流域に降った雨によって、下流側の対象地点で洪水リスクがどの程度高まるかを示す指標です。
洪水警報の危険度分布にも用いられます。
答えは〇です。
(b)
降った雨がすぐに川に流れ込むわけではなく、地表面や地中を通って河川へ流出します。
流域雨量指数ではその過程をタンクモデルで計算し、河川を流下する量を運動方程式で計算します。
これにより、雨が降ってから対象地点に影響するまでの時間差も表現できます。
答えは〇です。
(c)
洪水警報・洪水注意報の基準には、単純な雨量ではなく、流域雨量指数などが用いられます。
過去の洪水災害時の指数値をもとに基準値が設定され、現在値や予測値と比較して危険度を判断します。
答えは〇です。
よって解答は①です!
問15 8月の日本の天候
気象業務支援センター
ポイント解説
(a)
図Aでは北日本では、降水量が多く、低温で、東日本より西では降水量が少なく、高温傾向となっています。
日本の南には太平洋高気圧が張り出し、北はその張り出しが弱い状態であると推測できます。
答えはウです。
(b)
図Bでは全国的に高温で降水量が少なく、多照であることがわかります。
全国的に広く太平洋高気圧に覆われていると考えることができます。
答えはアです。
(c)
図Cでは全国的に低温で、降水量が多い状況です。
特に北日本や東日本の太平洋側では低温が顕著な地域が多いですね。
オホーツク海で高気圧が強まり、北東から冷たい空気が流れ込みやすい時に発生する状態であると考えることができます。
答えはイです。
よって解答は④です!
第57回気象予報士試験専門知識はこれで終わりです。
皆さん、お疲れさまでした!
















